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  • 執筆者の写真08th Ihara

格について残念な考察


捨てていった才能、という言葉を見た。


どこで見たんだったかは覚えていない。

そもそも才能というものが、どういうものか俺は知らない。

なんとなくは、多分わかる。広く、俺にないものだ。おそらく、俺よりかは妹の方が才能という言葉に近い。

しかし、人間の上から何番目に入れば才能という明確な基準もないため、知らないと言うだけである。


雨が降っている。梅雨だから当たり前だ。


唐突に「たばこが吸えたらよかったのに」と思った。ひどくたばこを吸ってみたくなった。そして吐き出してみたくなった。

窓の外で、防水質の布で作られた雨よけにあたる水の音が聞こえる。

もう日付が変わって一時間となる。


たばこを吸わない理由は二つ。高額だから。もう一つは俺が吸ってても様にならないから。

それでもなお衝動的にたばこが吸いたくなったということは。

今の俺の心境なら、たばこが様になる。

と思ったということか。


分析して後悔した。戒めを求めて「………サッと湯通しされてぇ」というマゾな発言が口をついて出た程だった。

多分これを妹が聞いたら、青二才もほどほどにしろよ。と、ダイレクトなナメ方をする。

すると思うし、俺も青二才だと判断する。


たばこに比べればココアシガレットをかこつけてしゃぶる方が照れはない。

多分、ココアシガレットという商品に漂う、滑稽で当たり前という心強い世界観のおかげだ。

それにくらべてマジモンのたばこは、高価いし、寿命を縮める。


ギャンブルだ。


カイジだ。


そんなシリアスなアイテムを、俺のような中身を伴わぬお調子者が持つとどうなるか。

手に余る。有り余る。身の程知らずでちょこざいという印象になるのだろう。

よって俺は、様になる/ならないという消去法に則り、生涯禁煙者を続けると思う。

そしてこんな分析を夜中の一時にしている俺は間違いなく馬鹿である。明日も仕事なのに。


雨が降っている。


2018/6/15(兄)(15分)

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